映画 ピーターラビット2/バーナバスの誘惑 感想

映画 ピーターラビット2/バーナバスの誘惑
ネタバレありの感想です。
1作目は観ています。原作はほぼ未読。

・感想

期待以上の続編でした。
と言うのも私は前作凄い好きな映画なんですね。
ある意味実写版トムとジェリーともいうべき(最近実写版のトムとジェリーがありましたがそれについて置いといて)ピーターとマクレガーさんの命を懸けた互いの居場所を守るための戦い。
シンプルで分かり易いストーリー。しかし内面描写がシンプルかと言えばそういった訳でもなく両者の内面描写が分かり易くしかもコミカルに描かれていた訳です。
もちろん全編にわたって可愛いウサギやその他動物たちのコミカルな動きが相まって…と長くなってしまうのでその辺は置いといて。

で、今作。
期待はしていたのですが前作で受けたウサギたちのコミカルなシーンだけの映画になってしまうのではないかと危惧してたんですね。
単に活動場所を変えただけの、ピーター達のアクションが可愛いだけの映画になってしまう(それだけでも良いといえば良いのですが。可愛いし)のではないかと。

でも実際は違っていました。
映画のパンフレットに書かれていましたがこの映画はアイデンティティのお話。
実際の自分の思いと違い周囲から悪役、トラブルメイカーされて(実際トラブルメーカーには違いないのですが)バーナバスの誘惑にのってしまうピーター。
幼い頃に父親を亡くし、本当の父親になろうとする、なれるかどうか苦悩するマクレガー。
自身の家族を守る為に、自身が思い描くものと違ったものを描こうとするビア。
メインの登場人物がそれぞれ自身の思い描く理想の自分になろうとするために苦悩する。そしてそれぞれが本当に自分の大事なものを守る為に共闘する、前作での精神的成長も踏まえた素晴らしい展開だったと思います。

まあもちろん前作の冒頭でもあった「この物語は教育的な映画ではありません」的な内容なのでピーター達の行動に首をかしげる事もありますがそれは前作からの流れですしね。むしろその辺りを外してしまったら映画ピーターラビットではなくなってしまう。
単に可愛いだけのモフモフ映画ではなく。
前作でも重要だった登場人物の精神的成長も前作以上に丁寧に描写した。
とても素晴らしい最高の2作目の映画でした。

以下雑記

・パイパーソンペットショップ

油断していたとは言えピーターを即捕まえる手腕。
捕まえた動物を即日完売するマーケティング能力。(鹿、カエル含めて)
非常に優秀な、いや異常に優秀なペットショップではないでしょうか?
しかし予防接種はおろか洗浄すらせず、さらにはした金で顧客の個人情報を売り飛ばすのはペットショップとしてどうなのかと思います。
個々の定員のスキルは異常に高そうですがまとめるトップが適当に違いない。

・こぶたのロビンソン

…ピグリンじゃなかった。何故ここにピグリンがいるのかと勘違いしてしまいましたが別人、じゃない別豚でした。まあ冷静に考えたらいる訳もないし。
しかしこの子豚。縄で釣られても平気な辺り超優秀な豚なのかもしれない。
なにせあのペットショップ(手あたり次第野生動物捕まえる手腕の)の手を逃れて生存出来ているだけで実は有能な豚なのかもしれない。
飛べない豚じゃない、ただの豚じゃないですからね。

・ピグリンブランド

捕まった状況で後25分ぐらい耐えられる!的な発想は素敵ですね。
前作だとダイエットは明日から、な発想でつまみ食いしてましたが今回は本当にダイエットを始めたのかもしれない。
しかしあのペットショップ。即座に豚を食用として売り飛ばす事が出来るとか普段から同様の事をやっていそうな気もします。
あまり関係ないですが今回の一番の被害者はピグリンを買ったお店。
特に悪役という訳でもないのに食用として買った豚を強奪されティギーおばさんにバイクを爆破させられて可哀そうな役割でした。
まあ前作も特に悪い事をしていない老マクレガーさんとか単に嫌味を言っていただけなのに買った家に電流仕掛けられた夫婦とかいますからね。
映画ピーターラビットはそういった物語なのです。

・ティギーおばさん

車のランプを破壊して自身の針を射出するとは。
前作の設定も踏まえた素晴らしい攻撃。さすが年長者。
ただ上でも書きましたが特に悪役でもない人間にやる攻撃としてはちと過激。
まあ前作は悪役でもないマクレガーをアナフィラキシーショックで一度死なせた(映画では。DVDでは修正)映画なので…。
…で、なんで看板にティギーおばさん使われたのでしょうかね?
ナイジェルはやりそうにないのですが。

・アヒルのジマイマ

千葉繫…じゃない鶏は飛べなかったのにジェレミー救出の時飛んでいたような。
アヒル凄い。
まあ何故かエンディングまで延々と飛んでいた鹿がいましたが。
映画と関係ない話なのですが子供の頃アヒルがカエルを捕食した瞬間を見た事があるので食べられてしまうのではないかと心配してしまいました。
メインキャラだろうとも死なないとは限らない。原作からしてピーターラビットとはそういった物語ですし。

・ジェレミーフィッシャーどん

あのペットショップ実験用にもペット卸しているんですね。
手広く商売やりすぎ。
上でも書きましたが食べられなく、そして解剖されなくて良かったですね。

・キツネどん

結局ジョギングから始まったトレーニングでファーマーズマーケット襲撃には参加しなかったですね。参加してたらネズミのサムウェルは捕食されていた可能性が高いですが。
しかしジョグ、逆立ち、バトルロープ、バービージャンプ、そして遠泳と何が彼をそうさせたのか。

・リスのナトキン

そういえばネズミは嫌っているピーターですがリスはどう思っているのか。
あざと可愛いから意図的に仲間扱いしていなかったのかもしれない。
襲撃の際は参加してなかったですよね?というか彼自身がキツネに襲撃されてましたし。

・まちねずみジョニー

やばいと思ったらチーズをうまいこと転がし逃げる。
さすが都会育ちのネズミは違いますね。
そういえばジョニーがピーターの絵本を知っていたのはバーナバスも絵本を見ていたという伏線だったのでしょうか?

・フィリックス(鹿)

…こいつ映画オリジナルキャラだったのか。
今回の映画のパンフレット読んでいて初めてしりました。
まあ鹿は他のキャラに比べたら違和感ありますからね。
しかし映画予告で飛ぶこと自体は知っていたのですがまさかそのままエンディングまで延々と飛んでいるとは思いませんでした。
締めもこいつでしたし。スタッフは鹿に思い入れでもあるのでしょうか?

・ミトン

今更の話なんですがこの映画、映像凄いですね。
性悪ネコというのが一発でわかる。
他のキャラも顔見れば性格が大体わかる、そしてそのキャラクターが違和感なく現実の世界に取り込まれているって凄い事だと思います。

・トムキトン

彼は家に行くたびにトイレに行こうとしているのでしょうか?
もしかしたら飼い猫だったのかもしれませんね。
知能指数的にはそれほど高くはないようなので散歩に出かけて帰れなくった可能性に一票。

・サムエルウィスカーズ

白黒テレビの時代の話してましたが一体いくつだこのネズミ。
ティギーおばさんが前作でもう長い事生きた(数年)と言っていたのにこのネズミ数樹年ぐらい生きてないですかね?
そして彼はペットショップでどこに売られるのか気になります。

・バーナバス

原作だと本当に父親の知り合いじゃなかったでしたっけ?
どこかでその記事読んだような。
映画でもそうだと思い込んで騙されてしまいました。
しかし彼は生きる為に悪になった、いわば付け焼刃のワルモフ。
野生で生活しているワイルドなモフモフ。真のワルモフのピーターに勝てないのは仕方ないですね。
ファーマーズマーケットで農場の人以外を襲わなかった、彼なりの流儀があるようですがそんなことお構いなしの真のワルモフに勝てる道理もなし。
敵対する人間の家に忍び込みホームアローン並みのデストラップを仕掛けるワルモフのピーターとは役者が違うのですよ。
そんな彼も最終的にはペットショップへ。
あのペットショップは食肉用にもペットを販売している。
現にピグリンは食肉用、ベンジャミンはスープ用に販売された実績あり。
そして彼は単独では歳のせいでペットになれないからワルになったという過去持ち。
さらにいえばピーターのおとうさんをパイにされたと馬鹿にしていた。
…つまり今回の映画はバーナバスミートパイENDでよろしいでしょうか?
そう考えるとちょっと悲しいですね。

・ベンジャミン

…いやなんでスープ用にとニッチな売り方をされたのか疑問に思います。
彼なら(ちょっと太っていて美味しそうですが)普通にペット用として販売されそうなのに。
しかし序盤でピーターに耳栓をされていたのをやり返すラストシーンは良かったです。
さらにピーターに耳栓されてピーターの方が一枚上手でしたが。

・フロプシーとモプシー

すいません前作も好きで何回も見ているのですがいまだにどちらがどちらかわからない。結局どっちが姉でどちらが16秒後に生まれた妹なのかもあやふや。
だからと言ってベンジョーは辞めた方がいいと思います。
しかしベンジョーネタ、散々トイレトイレと言われていましたが字幕版だとどういった扱いになってるのか気になります。
他にもちらほら元の言語だとなんて言っているか気になるシーンがいくつかありますが。

・カトンテール

…前作の凶行はあれは素でやっていたのか。
あばらが残っているからまだ飛べる!的な遊びをしていたキャラが酔っぱらえば今回のようなさらに凶悪になった…いや前作の方が危ないウサギに見える。
ちなみ映画のピーターラビットで一番好きなシーンは前作ビアを足止めしようとするシーン。
カトンテールがどっちの足を折る?両方だよね?と発言しあの結構危ない集団全員をドン引きさせていたシーンが大好きです。

・ビア

前作は結局ウサギと会話できなかったのに今回は無事出来たようで。
まあ前作の人間で一番危ないキャラってビアでしたからね。
マクレガー(老とトーマス両方)の話を全く聞かない。
マクレガーの畑が荒らされてもウサギのやる事だから、と一笑に付していた彼女が自身の絵を少し汚されると激おこ。
ラストでダイナマイトのリモコンを操作、その後家に電流仕掛けたピーターを見てまだピーターをまともなウサギだと信じている
その彼女がウサギたちの話を聞けるだけの精神的成長を遂げたというだけで今回の映画は良かったと思います。
…しかし原作者がモデルのキャラ(のはず)なのに前作の仕打ちはどうだったのでしょうか?今回は話せるようになったのはその反省でしょうかね?

・トーマスマクレガー

映画ピーターラビットはピーターの物語であると同時にマクレガーの物語でもあるんですよね。
共に父を亡くし、居場所を探していたマクレガーとピーター。
非常に優秀な彼(この辺りは前作の方がより描写されてましたが。さらに言えば正確にちょっと問題あり)ですが精神的には不安だらけ。
そんな彼が精神的にも物理的にも自身のアイデンティティを確立し、大人になっていく物語。
ガス欠の後のシーンはとても良かったと思います。

・ピーターラビット

前作で一番良かったのはカトンテールのシーンと書きましたが今作の一番良かったシーンはファーマーズマーケットでマクレガーと目が合うシーン。
とても切ないピーターの表情が彼の心境を表現していて…。
あそこからマクレガーと和解するまでの流れはシンプルながらにとても良かったです。
前作もそうでしたがこの手のシーンがあるからピーターラビット大好きなんですよね。
まあそれ以外のシーンも大好きなのですが。
ドライフルーツを返しに行ったのもピーターらしくてとても良い。
あそこで奪ったままではバーナバスと同類になってしまいますからね。
仲間救出に行った時の被害者に対して何もしなかったのもピーターらしいですが。
料理店のおじさんとかベンジャミンを買ったおじさんと完全に被害者ですよ。
その辺は前作も同様、さらに言えば本当のワルモフのピーターにとっては謝る謝らないはピーターの気持ちの問題。それが映画ピーターラビット。

・ナイジェル

くまのプーさんの映画化は止めておいた方がいいと思います。
いやあの映画好きなのですが好きなのはあくまでクリストファーとその家族の話であって仕事がクソ忙しい時にはちみつぶちまける等仕事の邪魔ばかりした挙句僕の事嫌いになったの?とかのたまうクマは映画化しない方が無難だと思います。
そもそもあの映画、原題だとクリストファーロビンでクリストファーが主役なのに日本語版タイトル「プーと大人になった僕」とまるで自分が主役だと言わんばかりのタイトルにしたのは…なんか違う方面に話がいきそうなのでこの辺で止めておきます。

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