仮面ライダーゼロワン Others 仮面ライダーバルカン&バルキリー 感想


自身の正義と貫いた唯阿さんと自分のルールを貫いた不破さん。
そして次世代に自分たちの意思を託すことを決めた滅亡迅雷の切ないラスト。
前作で自身達の体を自分たちの意思で破壊した仮面ライダー滅亡迅雷。
その真の目的は新世代であるソルドたちに行き過ぎた正義の行く末をラーニングさせるという、シンギュラリティに達した滅亡迅雷のメンバーだからこそ成し得た選択であると言えるでしょう。
テレビ版のゼロワンではヒューマギアは基本的には人間から心をラーニングしてきました。
例外と言えば滅の死によって覚醒した迅でしょうか?
(追記:よく考えたら滅は迅で。雷は昴、亡はデルモと滅亡迅雷はヒューマギアによって覚醒していました)

他のヒューマギアは人間の生き様などを見て自身の夢を見つけシンギュラリティに達し、そして自分の心を持つことができました
そして今回のバルカン&バルキリー。
人から学び、心を持ったからこそヒューマギアがヒューマギアに対してラーニングさせるという行為。
心を持ったから、持ってしまったからこそ自分たちの身を犠牲にしてまでの次世代に自分たちの意思を託すという決死の行動。
そんな決意を理解したのは他ならぬバルカンこと不破さん。

植え付けられた記憶とは言え誰よりもヒューマギアを憎み、そして憎んだからこそ誰よりもヒューマギアの事を理解しようとした不破さんだからこそ、心を持ったヒューマギアの事を理解できたのかもしれません。
そんな滅亡迅雷と不破さんの戦いは共倒れという結果となってしまいました。
果たして両者の戦いは無駄だったのでしょうか?
もちろん今回の戦いを単なる滅亡迅雷の暴走で片付けてしまったのではただのテロ行為とその犠牲者といった図式となってしまいます。
しかし正しいテクノロジーの使い方を問い続けるべきだという唯阿さんと。
唯阿さんと不破さん、そして滅亡迅雷からラーニングしたソルドたち新世代ヒューマギア達が。
行き過ぎた正義が、正しいとされる多数派の暴走が何を齎すのか。
それらを理解した彼らがいる限り人工知能という新しいテクノロジー、いやそれ以降の新しい技術が生まれても。
真に正しい使い方を模索していけるでしょう。

本編の感想は以上になるのですがちょっと書かせて欲しい。
不破さん死んじゃった?
まさか両目から血の涙を流したぐらいで不破さんが死ぬとは思わなかった(ライダーでは多少目が見えなくなってもアギトの氷川誠やキバの753のように何事もなく復活するのが2号ライダーなので)のでラストの意味深な描写にびっくりですよ。
ラスト唯阿さんとソルド12と20は消えずに去って行ったのに不破さんと滅亡迅雷のメンバーは消滅するかのように消えた描写。
死んだ可能性が非常に高い描写なのですがまさか不破さんがあの程度で死ぬとは思えない。
というか多少部品が残っていれば再生できる可能性がある滅亡迅雷はともかく不破さんが死んでしまったらいったいどうやって復活すればいいのか?
なんとなく一時的に幽体離脱してしまったけど特に問題なく復帰してみました、的な描写を入れて欲しい。
というか続編が期待できない最後のスピンオフで2号ライダーの生死不明描写を入れるのは個人的ににあまり好きではないのでセイバー&ゴーストのように不破さん復活のスピンオフの作成をお待ちしています。
せっかく野良犬から社長就任となったのにこの扱いは…
いやもう本当に生きていて欲しいと思います。

・不破さん

「ヒューマギアをぶっ潰してその先に何があるのか?夢なんて考えた事もなかった。でもいつか見つけてやるよ。俺が俺である為に、俺の夢を!その為に俺は戦う!俺のルールで!」

「お前(唯阿さん)が本気の夢を語るまで俺はお前を認めない。お前がお前であるために、俺はお前をぶっ潰す!」(本編29話)
自身のルールを貫き通した結果、生死不明(映画パンフでの初期脚本では不破さんの墓参りのシーンもあったようなので死亡確定。パンフ未入手の為真偽は不明)となってしまった不破さん。
自分の夢がない、いや記憶すら定かではない不破さんだったからこそ他人の意志や覚悟を受け止めたかったのかもしれませんね。
滅亡迅雷の自分の身を犠牲にして次世代にラーニングさせるという、ある意味不器用な意思を誰よりも早く察したのは同じく不器用な形でしか他人に接してこれなかった不破さんだからこそだと思います。
言葉で話し合っていたら滅亡迅雷との戦いも違った結末があったのかもしれません。
現にソルド9は不破さんを通して滅亡迅雷の意思に気が付きました。
しかし不破さんはそうしなかった。

「お前らの覚悟俺が受け止めてやるよ。だから全力でぶつかってこい。こっちも全力で答えてやる。それが俺のルールだ」

受け止めず、一方的に倒す道もあったはずです。現に本編終盤の滅戦では暴走する滅をぶっ潰すとまで宣言していました。
あの時は滅にも事情はあるけれども滅を放置してしまえば大きな被害が出る。だからこそどんな事情があれどもお前を潰すと宣言した訳です。
しかし今回は自身の身を犠牲にする滅亡迅雷の真意に気が付いたから(そして被害を最小限にしようとしているから)こそその意思を尊重し、全力で受け止める事にした訳です。
他人の意思を尊重しているからこそ、その想いを全力で受け止める。
実に不破さんらしい決意、そして結末だったと思います。
…なのですがやっぱり2号ライダーがその身を犠牲にして終止符を打つというのはあまり好きじゃないんですよね。1号でも好きではないですが。
基本的にはハッピーエンドが好きなので。

2号が犠牲になって物語に決着をつけようとした例なんてそうそうない(龍騎…は全員死亡だから違う。555は死んだけれども(草加も木場も)ちょっと違う。剣は1号がある意味犠牲に。電王はある意味消。滅該当するとすれば電王が一番近い?キバはお父さんずだけが犠牲に。鎧武はちょっと違う、信念のある物同士が戦った結果。ジオウはゲイツ死んでジオウが覚醒したけど復活したからノーカウント。…2号が死んだだけなら結構多いかも)のでやっぱりちょっと血の涙が出て最後死んだような演出があったけれども一晩寝たら治ってたぜ!ぐらいの結末でお願いします。
一応同じメイン脚本のエグゼイドがスピオンオフ以降の話を小説化していたのでこちらでも期待。
描写的にも物理的にもふわっふわの結末よりきちんとどうなったか(或人の反応も含めて)描写して欲しいです。

・唯阿さん

「私に夢はない。でも信念がある。技術者としての信念が。テクノロジーは人に寄り添ってこそ意味がある。あんた(天津)はテクノロジーで人の夢を弄んだ。私は、私はあんたを絶対に許さない!」(本編33話)

本編33話。今回の唯阿さんの教授の話(人工知能による人道支援)も含めて唯阿さんは唯阿さんなりの信念と正義感があるようですね。
テクノロジーは人を殺す為の技術ではなく、人を活かす為の技術。
そして亡の心を認めていたように人工知能は心を持つことが出来る。人工知能は人に寄り添うだけの技術ではなく心を持ち、人の心そのものに寄り添う事が出来る。
そんな思いを持っていたからこそ今回の事件では迷うところ(心を持ったはずの人工知能がむやみに人を襲うはずがない)があったようです。正しい心があれば、正義の心を持つことができれば人を守る為に使う事が出来るはず。
しかし滅亡迅雷は心があったからこそ人を倒す事で、自身を悪とする事で次世代に繋げようと考えた。
事件としては多大なる被害を出しつつもテロリストを排除した人間の勝利、といった形で(長官の中では)終わったようです。
しかし唯阿さんにとっては終わりではない。むしろこれが始まりといって良いのではないでしょうか?
人工知能は心を持つことができ、そして自身を犠牲に他者に寄り添う事が出来る。
人も少数派ではあるがそんな人工知能の思いを受け止める事が出来る。
人に寄り添う為のテクノロジーというだけではなく。
人とテクノロジーが互いに寄り添い、真に正しい道を切り開ける。
払った代償は小さくはないですがそれだけに唯阿さんの想いが多数派を変えていく力になるかもしれない。
そんな未来を思わせるラストの唯阿さんでした。

・或人

結果的に不破さんを生死不明に追い込んでしまった訳なのですが本人的にはどうなのでしょうか?
と言っても基本的に或人は人間、ヒューマギア関係なく夢に向かって欲しい、と願うキャラなので不破さんが自分のルールを貫き通すと願うのであればそれに応えるのが或人というキャラな訳でして…。
そもそも自分自身もかつて滅を止める為に戦った訳で滅亡迅雷を止める不破さんを止めるキャラじゃないんですよね。
不破さんは殺しても死ぬようなキャラじゃないと思ったから託したのか。
それとも本当に相手の気持ちを物理的に全力で受け止めるとは思っていなかったのか。
ラストバトルの後の不破さんの安否も気になりますが或人の心境も気になります。
…もしかして本編最終回のイズのように復活(厳密には違いますが。最終回のイズは別個体としてイズ)させるつもりなのでしょうかね?
本編の声優ヒューマギアの回で本人の意思が覚醒したような描写が。
劇場版のSに対しては人間の体を捨てたSに対しても人間と同様に意志を尊重(或人からすれば当然なのですが)していた件からもヒューマギアとして誕生させたとしてもそれに本人の心が宿っていればそれは本人であると思っているのか。
しかし本編のイズと劇場版のイズを別の存在として認識していた事からも不破さんをヒューマギアとして創ったとしてもしてもそれはヒューマギアであって不破さん自身でないと或人自身がよく理解していそうな気もします。
なので基本的には無いと思われます。
それでは他に不破さんが復活(死んでいなかったという展開ももちろんありですが…)という展開を望むとすれば…

・天津垓

出番が少ない。1000%少ない。
まあ今回の話に天津が登場すると話が1000%拗れるので出なくてもよいのですが…。
不破さんを復活させるとすれば天津の出番ですね。
ゼロワン本編の黒幕と言っても過言ではない天津がこれ以上罪を重ねてもこれ以上格は落ちないので(倫理的に問題ありそうな)復活をさせるとすれば最適な人選。
亡のチップを埋め込んだ時にデータを収集しておいたとかなんとかで人口生命体不破諫を創り出す事も可能。
倫理的な問題もこれまでの悪事に比べたら全く問題なし。
という訳で不破さんが死んでいたとしたら天津に再度悪役になってもらって不破さん賦活でお願いします。
最近コラボやったマコト兄さんも人造生命体でしたし心が宿る人工生命な2号ライダーもありじゃないかと。
漫画版の初代ライダーの本郷猛も一回死んで脳だけの存在になってましたしきっと大丈夫。負の部分は全て天津が請け負ってくれます。それこそ1000%。

・リオン=アークランド

今回写真だけの登場ですが前回の感想で生きてるんじゃないか?的な感想を書いてしまったので書きます。
普通に死んでました。
自身が望んで生み出した仮想的に殺されるとはアホの子じゃないですか。
まあよく考えたら天津の上司ですしね。天津以上のアホの子であっても仕方がない気がしないでもないです。

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