映画 マスカレード・ナイト
ネタバレありの感想です。
・感想
映画自体は面白い。
けどミステリーとしてはどうなのか?
というのも犯人の動機はともかく正体はわからないのではないでしょうか?
非常に怪しい人物ではあるものの犯行現場から想像できる犯人像からかけ離れた人物だと思うのですが。
被害者にロリータ服を着せていた
被害者は妊娠していた
痕跡を残さない、用意周到な犯行
と言った条件から真犯人が女性であるというのは想像しづらいのではないでしょうか?
男性を関係を持って妊娠した被害者女性が女性と二股をしていたって結構無理筋な気がするんですよね。
いくら性別偽っていたとしても被害者の趣向がマイノリティである事も加味しないといけないというのは難易度が高い気がします。
そして警察に恨みがあり、ある意味復讐戦を挑んだ用意周到な犯人が時計つけずに犯行失敗に終わるという展開はどうかと思います。
仮装で時計が禁止されているならともかく犯行時間を気にしている犯人がたまたま尾行してきたホテルマン気絶させてその時計で時間確認したら失敗しました、というのは展開的にあまり美しくない。
(ただし時計云々は犯人像と関係ないので真犯人推測には関係なし。単に被害者の状況から推測できる犯人にしてはお粗末な行動をしていたというだけですが)
さらに言えば前作は単独犯でそれなりに人物関係が分かり易い犯行だったのですが今回は密告者とその密告者の夫と浮気関係の女性が絡んだ複雑な人間関係の事件となっていて犯人像にたどり着きづらいと思うのですよね。
といった感じで自分は全く犯人がわかりませんでした。
前作も序盤で怪しいとされた人物が結局犯人だったので今作も真犯人だった女性が結構怪しいなとは思っていたのですが犯人像からかけ離れていたので完全に犯人候補から外してしまってたんですよね。
この映画初見で真犯人の正体、動機を推理するのはかなり難易度が高いと思います。というか推測できる判断材料が少なすぎる。
視点を変えてミスリードを狙ったと思われる人物から逆算すれば犯人がわかったのかもしれません。
どうみても日下部が色々怪しいのですが序盤でホテルマンは無理とは言わない、的な台詞を言っていた事からホテル関係者だと推測。
その日下部がミスリードならばその人物像からかけ離れた人物が犯人だろう、つまり女性が犯人である、的な判断をするとか。
女性が犯人だと推測できれば真犯人にたどり着けたのかもしれませんね。自分には無理でした。
そもそも原作をちょっと調べてみたら原作の真犯人は女装した男らしいじゃないですか。それだったらそこそこわかりやすい展開だったのかもしれません。というか何故設定を変えたのか聞いてみたいところ。犯人に関しては上記に挙げたようにすっきりしない点があったので。
長々と犯人について書いてしまいましたがそれ以外の展開は良かったと思います。
ホテルマンにはホテルマンの思いがある。
ホテルマンは宿泊客に幸せな時間を提供しなければならない。だからこそ全てのお客様を信じるしかない。
警察には警察の思いが。
警察は犯人を突き止め逮捕しなければならない。だからこそ全ての人を疑うしかない。
決して交わらない二つの職業の人間が、人を守りたいその一点で互いの領域に踏み込み事件を解決に導いていく。その流れは良かったと思いますしそれ以外の前作の展開も踏まえたやり取りも面白かったと思います。
といった感じで真犯人に関してはどうかと思うのですがそれ以外のストーリー展開、音楽を含めた雰囲気、俳優さんたちの演技、などなど良い映画だったと思います。
以下雑記
・床屋
序盤しか出ていないのですが凄いラスボスっぽい雰囲気を醸し出していました。出番少ないのに物凄いインパクトがある。
・看板(明石家さんま)
前作では非常に出番の少なかった友情出演でしたが(というか本編出たのに気が付かなかった)今回はド迫力の友情出演でしたね。
それはそうとあの風船一晩中あげていたのか気になります。
・日下部篤哉:沢村一樹
ロサンゼルスのホテルはあんな要求をする客がたくさんいるのかと思うとコンシェルジュって大変な仕事だと思います。
というか試験だというのにフロントにあまり関わらずコンシェルジュに無理難題を吹っ掛けすぎやしないでしょうか?
とはいえ予定より早くきてしまった、的な台詞があったので下見程度で無理難題言ってみたら思った以上に優秀だったのでそのまま試験終了といった感じだったとは思いますが。
ただ若干氏原が可哀そうな気もします。試験の場すらなかった気も。新田の足を踏んだ時点で失格扱いだったのでしょうか?
・氏原祐作:石黒賢
ラストあっさり山岸を認めていてちょっとびっくり。
とはいえあの雰囲気、流れの中で異議申し立てしても結果は変わらないどころか評価が落ちるだけだと判断したからこその敗北宣言だったのかもしれませんが。
・曽野昌明:勝村政信
ものっすごい影が薄かったので逆に犯人扱いしてしまいました。すいません。
それはともかく月曜日限定でホテル使用していたらそりゃ怪しまれるよ、という話でもありますが。奥さんにモロばれでしたしね。
・能勢和彦:小日向文世
時系列整理してみるとこの人超スピードで移動して仕事してそうな気も。何回ホテルに出入りしてたのか気になります。
・山岸尚美:長澤まさみ
前作は逆恨みで死にかけ。
今作は犯人を追って死にかけ。
ロサンゼルスに行っても銃撃事件とかに巻き込まれて死にそうになる気がします。
・新田浩介:木村拓哉
ラストのデートの誘い方いいですね。
ホテルマンに「無理です」と言わせるオチも含めてあのシーンとても良かったです。
・仲根緑:麻生久美子
犯行時間を気にするなら時計はした方がいいと思いました。
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