映画 大怪獣のあとしまつ

映画 大怪獣のあとしまつ
ネタバレありの感想です。

・感想

ギリギリまでがんばって、ぎりぎりまでふんばって、どうにもこうにも、どうにもならない、そんな時ウル…
ではなくまさにデウスエクスマキナ的な手法の映画だったように思えます。
あれだけ日本国内でごたごたやって結局はウル…じゃない謎の生命体の力で解決。
映画の内容の前に何故デウスエクスマキナ的な手法が悪いか、と言われれば前振りもなく超常的な存在が物語を解決に導く、というのがいけない訳ですよ。
伏線も何もなく物語をハッピーエンドに導ければいいじゃん、的な。
ストーリー完全に無視してめでたしめでたしじゃ観てる側は面白くないと思うのですよね。展開予想も何もない訳なので。

で、この作品。
どう考えてもアラタが怪獣を倒した存在というのはわかりきっている展開(あまりにも念入りにそういった存在であると匂わせ続けたので逆に何もない、ただの人である可能性も考えてしまうほどに)。
そして序盤でデウスエクスマキナという概念を説明している訳です。
なのでそういった存在がいる事は明らかであり、そしてラストで登場する可能性はあったのですが…そのラストへの持って行き方があまりよくないと思いました。

日本国内で対応がごたついたけれども最終的には全員が力を合わせ、ギリギリまで頑張って…それでもダメだった時にこそヒーローが現れて欲しい、そんな展開だったら納得のいくものだったんですよ。個人的には。
結局最後までメイン人物のほとんどが自分の保身と後始末後の事しか考えていない状況で結局ヒーローが自力で動いて、それでもダメだったから奥の手を使用した。そんな展開。

デウスエクスマキナ的な存在がいる事は明らかな設定。
ならその登場方法に気を使って欲しいと思うのですよね。
何故最後までその力を使わなかったのか。
何故最後にその力を使ったのか。
ダム破壊の時も変身する必要性は高かったと思うのですが…結局あの場面で変身せず、ラストで変身した展開の必要性、もしくは必然性が欲しいと思ってしまいます。

ヒーロー番組が長い期間続いているのは人々がそういった存在を求めているからだと思います。
そしてヒーローがヒーローである為には相応しい舞台が必要だと思っています。
人々が力を合わせれば解決できそうな問題にヒーローが後始末の為だけに、帳尻合わせの為だけに活躍するのは如何なものか。
せっかくヒーローが存在する世界観。
結局そのヒーローが解決するのであればそのヒーローの登場方法に拘って欲しかったと思います。

以下雑記
映画と全く関係ないネタがいくつかあります。

・政府
感想の方では色々書いてしまいましたが政府の各大臣のやり取りは面白かったです。
なぞの光が怪獣を倒したっぽいけど本当に死んだのか?誰がその生死を確認するのか?
怪獣は安全なのか?誰が安全性を確認(責任を負う)のか。
安全性が確保できたらその資源を誰が、どう管理運用するのか。
結局安全ではない事がわかり誰がその責任を負うのか、その処理は誰がやるのか…
などなどこの辺のやり取りは非常に面白い。
というかこのやり取りが一番の見せ場ですよね。この映画の。
個人的には後処理にアラタが変身しなければかなりの高評価の映画だったと思います。変身して怪獣倒したのはアラタでいいのですがその時点で力を使い果たして云々的な説明、もしくはそういった事があったよ、的な描写を入れてくれれば満足してたと思うのですよね。ラストで普通に変身してしまったのが興ざめな点。
その辺りについてはアラタの項目で書いてみようと思います。

・文部科学大臣

変身しそう。
変身能力奪われていて最後の最後まで変身できないけど最後は変身しそう。赤いニンジャに。
リバイスでは変身するのか気になります。
それはともかく保存して見世物にする、的な発言を繰り返していましたがどう保管する気だったのか。
まあその辺は文部科学大臣が考える事ではない…のでしょうかね?
学術的価値があればそれを残したいという意見を伝えるのも重要ですしね。できる出来ないかは別問題として。

・財務大臣

変身する。絶対する。
文部科学大臣とセットで変身する。赤いニンジャに。
その後消滅しそうですが。
しかしこの手の処理費だけかかりそうな案件って財務省も困りものですよね。ただでさえ怪獣のせいで経済的に厳しい状況だと思うのですが。

・総理秘書官

この人の執拗なキスシーンは必要なのだろうか?
ヒキタさん!ご懐妊ですよ、の編集者といいグッドバイの成金といい主人公のある意味ライバルポジションなのは自分が見ている映画が偏っているのかそれともそんな役ばかりやっているのか気になります。

・ブルース

キノコの菌糸を保有している、ある意味毒キノコ的な怪獣との戦いで意識不明。
彼はこの後ライジング的な力を手に入れて復活する。間違いないですね。
そして彼は倒した後処理ではなく敵を倒す場所に困るようになると思います。
あまりにも破壊力高すぎるので。
それはどうでもいいのですがダムバスターで穴をあけられるような装甲ならミサイルでも十二分に通用しそうな気がするのですが…どうなんでしょうね?
腐敗が始まっているから既に脆くなっていたのでしょうか?

・動画クリエイター

彼は自分の姿の変異を撮影出来ていれば億再生も夢ではなかったのに…。
あわれ自身のキノコを全世界に晒す事に。
というか隠してあげて欲しい。

・ユキノ

なぜ濱田岳と結婚したのか。その辺を聞いてみたいのですが…。
母親が亡くなる前にとりあえず結婚しておきたかったのかどうなのか。
しかしダム破壊作戦。
あの質量の物質を水洗トイレのように流すのには明らかに水が足りないと思うのですが…。そして流したら流したでまたひと悶着ありそうな気がする。
絶対流された後の場所の生態系が変わる。

・特務部隊スナイパー

最初のシーンで何を打ち落としているのかよくわからなかったのですが…
それはともかく飛んでくるミサイルを打ち落とす(というか弾道を変えた)のは下手したら完全にアラタが死んでいたと思われるのでやめておいた方が良かったと思います。多分体も丈夫になっているので死なないとは思いますが。

・怪獣

全長380m。
…いやでかいですね。大怪獣と言われるだけの事はある。
基本的にウルトラマンの怪獣って数十メートルなんですよね。年々高くなる傾向はあるのですが基本的に数十メートル。それは周囲の建物とあわせて…といった話をトクサツガガガで読んだ気がする。
要は比較となる建物の高さにあわせないと大きさが表現しづらい為。
ウルトラマンもそれに相対する為に同じ程度の大きさと言う訳です。
で、この怪物。
下手したら10倍程度のデカさ。全長が10倍になると体積は縦×横×奥行で10*10*10の1000倍。体積1000倍ですよ。これは…まあ後始末大変ですよね。

しかしそれは置いといて。
このサイズの怪獣が数年単位(3年近く?それともアラタが失踪したのは別件?)で暴れてあの程度の被害が収まっているのが不思議。
恐らくは短期間暴れて長期間休養。短期間…を繰り返していたのではないでしょうか?
そもそも短期間で始末出来ていたならば若者に召集がかかる訳もないですしね。
…もっと言えばあの怪獣相手に素人集めて何になるかって話ですが。戦闘要員ではなく被害地支援を行っていたのだと思っておきます。
しかしそれにしても被害というか日本国で普通の生活が営めているようなのが不思議。あんなの居座っていたら失業率や株価がえらいことになっていそうな感じもするのですが。
この辺の設定がどうなっているのかちょっと気になります。

あと一つ気になる点が。
未知の細菌などはいない(銀杏の香りとかキノコとかはありましたが)。つまり地球の生命体の可能性が高い。
つまりあんなのがうじゃうじゃいる可能性が高い訳ですよ。エンドロールでメラ(?)とかいう怪獣でますよ、的な話をしていましたがやっぱり色々出てくる訳です。
つまりこの後漫画の怪獣8号的な展開に…なるのかどうなのか。
早くウルトラの方々と仲良くする算段をたてておいた方がいいと思います。

・アラタ

何故最後だけ変身したのか。考察してみたいと思います。
ウル…じゃない正体がバレると地球を去らないといけない
地球を去る必要はないが正体がバレると面倒(特にあの世界観だとまともに生活できなさそう。といってもウルトラマンで最終回前に一般市民に正体ばれしているのはない…と思うのですがあまり詳しくない)
後処理だから人的被害はないと思っていた
出来る限り地球人の力で解決したかった
変身時の掛け声がどうかと思っていたから
変身不能の時間がある(V3の逆ダブルタイフーン使用後、クウガのペガサスフォームなど。もしくはキョウリュウジャーの獣電池のようなアイテム自体が使用不可になるなど)
などなどありますが…普通に考えれば正体ばれを恐れた+地球人の力でどうにか、といったところでしょうか?

ダム破壊時に変身しなかったのはキノコの有害性を知らなかった為。ミサイル作戦の時は失敗したら広範囲に被害が出るとわかっていたから、と考えれば納得できますし。
何にせよ地球人の手に余る事はわかりきっていたと思うのですが…いやわかっていなかったんでしょうね。
地球人というか日本人の力を結集すれば…いやそもそも資源として活用しようとさえ思わなければどうにか出来たと思われる事態。
最終的にミサイルが発射されようとも(変身したのは2回目だったはず)変身しなかったのは出来る限り人の手でどうにかしたかった、しかし現実はそうならなかった。
ある意味悲壮な変身ではありますが…きっとこれからの怪獣後処理でその認識を改める出来事があって…欲しい。
いやウルトラマンって最終的に記憶失ったり星に帰ったりとあまりハッピーエンド的な物少ないので…。

恋人だけに正体を明かして変身して去っていく、というのはウルトラセブンを思い出しますがセブンってレオの時に…ですし。
興行収入的に良さそうなら次回作作りそうですしその時はもう少しハッピーエンド的なものを期待したいです。

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