映画 耳をすませば(実写版)

映画 耳をすませば
ネタバレありの感想です。
原作漫画は読んでます。
アニメ版映画は観た記憶はあるのですが色々と曖昧。
なのでアニメ版の知識が間違っている可能性があります。
以下ネタバレありの感想です。

・感想

個人的には結構良い実写化だったのではないかと思います。
ただし・・・
若干どっちつかずの内容になっているような気がします。
どっちつかずというのは原作漫画とアニメ版がごっちゃになっていて両方のいいとこどりをしたような構成になっているので。

基本的に過去編のストーリーは原作漫画準拠。
ただし聖司がチェロ奏者となっている。これはアニメ版準拠?
これは原作の設定(聖司は絵描きになりたい)だと遠く2人が離れる設定にしづらいので。どっちも日本で活動できますしね。
なのでその辺を踏まえて、さらには映画的に音楽を絡めたいためにチェロ奏者にしたのではないでしょうか?

一応原作漫画の続編、『耳をすませば〜幸せな時間〜』ではいつか二人が別れる時が来る、という事を仄めかしているので(どこかで読んだのですが作者的には聖司と雫の関係は一時的なもので結局別れる事となるらしい。真偽不明)今回の映画でも遠く離れる設定にはできると思うのですが・・・それだと今回の映画的に盛り上がらないですしね。
夢追って別れた二人が偶然再会してよりを戻す・・・というストーリーは無しではないと思うのですがアニメ版ファンは納得しないでしょう。原作ファンなら納得するかもしれませんが・・・
という訳でストーリー的には原作再現のはずなのですが実写映画化に都合の良い設定はアニメ版から拾ってきているな、という印象。
なのでどっちつかずと感じた訳です。

とは言え個人的には結構良い実写化だったと思います。
過去編はかなり原作漫画を再現している。
現代編のストーリーも原作のテーマ「夢」と「心の声」を中心にきっちり描けている(聖司が日本に戻ってきたのは賛否別れそうですが)。
原作ぶち壊しの実写化が多く存在する邦画の中では結構良い作品だったのではないかと思います。

そもそも話ですが・・・『耳をすませば〜幸せな時間〜』ですがあれはどうなんでしょうね。
今回の映画で雫が作家の園村に対して主人公(?)が死ぬなんてつまらん、と言い切ったように原作のラスト(漫画版、アニメ版共に)であれだけやっといて夢優先して別れたとか(原作漫画だと別れたかどうかまでは不明。別れてそうですが)・・・そんなのは現実だけでいいと思ってます。
せっかくの物語なので・・・やっぱりハッピーエンドがいいじゃないですか?
という訳で個人的にはハッピーエンドな今回の映画。良かったと思います。
・・・聖司の元カノ(と言っていいかわからないですが)関係がちょっと怖いですがその辺完全にスルーされていたのでここでは触れない事にします。

以下雑記

・雫の勤務先の後輩

よく考えてみたら結構可哀そう。
好意がある先輩女子社員のために頑張って働いたらその先輩社員は遠距離恋愛の為に有給使っていたとか。
そもそもその園村の担当も受け持っている。さらに言えば新入社員。
どう考えてもキャパオーバーだと思うのですが・・・
彼が様々なストレスで仕事を辞めないか心配です。

・先輩社員

忌引きにしたらどうですか?とはなかなか言えない台詞。
しかし先輩社員とのやり取りは時代を感じますね。この辺の有給の習得とかタイタニックとか。

・部長

有給取得のやり取りが時代を感じる。
今だったら完全にパワハラですしね。
1990年代だとこんなもんだと思いますが。
まあ口は悪いですが基本的に間違った事は言っていなかったような気がするので(時代を考えれば)部長を責めてはいけない気もする。
・・・いや元少年誌担当でそのやり方を現在まで変えないのは昔でも駄目だった気もする。
そもそも雫が園村の担当を外されたのは部長の存在が関係なくはないですしね。

・園村

土下座しても一度変えた担当を元に戻さないというのは結構筋が通っているような。
雫の事を許さないから元に戻さない訳ではなく現在担当の後輩社員の事を考えればそうそう元に戻せないですよね。関係を築いている途中でしょうし。
(担当からストーリー変更して、と言われて変える辺りそれほど自分に自信がない先生であり、他人とのやり取りも時間をかけて丁寧にやっていきたいと思っている人物ではないかと思います)
ただし・・・最初の雫とのやり取り。主人公(?)の生死って結構重要なポイントじゃないですかね?その辺を担当に言われたから変更した(かどうかは不明でしたっけ?)というのは・・・ちょっと自分に自信が無さすぎる気も。それともなんとなく盛り上がるからやってみました、的な決め方だったのだろうか。

・西司朗

原作に比べて若干出番が減ったような。
バロンの目の説明。聖司に変更になったからでしょうか?

・月島靖也

10年以上娘に弁当を届けさせている驚異のお父さん。
とはいえ最近娘が疎遠になっているから口実作りで届けてもらっていると解釈したい。
そもそも図書館近く(内?)に食堂あるならそちらですませてほしいような・・・やっぱり口実作りですね。きっと。

・杉村竜也

タッチのたっちゃん。
紆余曲折あったようですが結局夕子と結婚する模様。
・・・浮気したら即離婚と言われているように力関係は完全に逆転しているようですが。

・原田夕子

結局杉村と結婚する事に。
しかし原作からキャラが変わったような気がしますが登場シーンから考えると原作通りなんですかね?
原作だと恋する乙女状態で大人しかったですが登場時はそばかす気にして雫に対して色々言ってくるキャラでしたし。
ある意味順当に変化していったキャラなんだと思います。
逆に杉村は順当に変化しなかったキャラだと思う。

・聖司の彼女

彼女ではないのですが・・・仕事仲間と呼称すればいいのでしょうか?
結局どうなったのか不明ですが聖司がチェロ奏者を続ける限り延々と狙ってきそうな気がします。
それとも日本に活動を移した時にあの愉快な仲間たちとは縁を切ったのだろうか。日本でやるとかクレイジーとか言ってましたしね(誰がいったかは忘れた。少なくとも彼女ではない)
この辺の連れ添った仲間を完全に切り捨てる(かどうかは不明ですが)ところは賛否別れそうな気がします。個人的には賛成。
仲間たちはちょっと可哀そうですが。いや結構可哀そうか。初アルバム(のはず)出して勢いに乗って来たところだと思うのですが・・・。

・アルバムのジャケット写真

翼の写真。
『耳をすませば〜幸せな時間〜』の展開を思い出してしまって聖司が自由を求めて旅立ってしまうのではないかと邪推してしまいました。そんなことはなかったですが。
ストーリー的には完全に聖司が戻ってくる展開だったと思うのですが「幸せな時間」を読んだためかそのまま二人は別れて夢に向かって頑張るENDじゃないかと途中で勝手に想像してしまいました。
どう考えても「翼をください」をイメージしたジャケットなんですけどね。

・天沢聖司

結果だけを見れば仲間を捨てて元カノの元に戻った。ように見える。
とは言え彼の原点は雫にある訳で夢は完璧な演奏をすることではないんですよね。夢は変化する、しても良いという流れでしたが彼自身の原点はあくまで雫。
・・・じゃなかった。雫が聖司に夢を追う決意をさせてくれた。
そして夢を叶える途中で迷っていた自分に原点を思い出させてくれた。
原点ではないけれどもそれに近い存在。だからこそ雫を選んだ・・・と考えれば自然な流れだったような気がします。
とは言え結果として仲間と別れる事となったのは・・・どうなんでしょうね。意見別れそうな気もします。

・月島雫

ダメだ・・・心象描写がはごろもフーズのCMを思い出す。
前半青だったから余計に。後半は黄色に変わっていたような気がしますが。
それはさておき結局雫の夢が叶ったかどうかは不明ENDって事でいいのでしょうか?
と言っても雫が書いたという設定の「猫の恩返し」が存在している事(劇中最後に書いていたのは違う気も。バロンは登場していたようですが)から成功してるのだとは思いますが。

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