映画 名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊 感想

映画 名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊
ネタバレありの感想です。

原作は未読。
関連映画も観ていないです。

以下ネタバレありの感想です。

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感想 ネタバレ少なめ

ラストシーンが良かった。

ミステリー要素はさっぱり予想できなかったので置いといて・・・
ストーリーについて。

ミステリー作品というか殺人事件に関するミステリー物って大体後味悪いじゃないですか。
まあ殺人事件が起こっているので当然と言えば当然なのですが・・・

この作品も意外な人物がある意味黒幕でお前がある意味原因か・・・と思わせてしかし同情できる部分もあって(肯定はできないですが)なんともやるせない気分に。

しかしその後のシーン。
ポアロが自身の中に存在する亡霊と向き合い、そして・・・

ネタバレになるので詳細は避けますが非常に後味の良いシーン。
まあ関わるのは基本的に殺人事件(ではないのもある?)のでこれからも色々とあるとは思うのですがそれでも自分の中に潜む亡霊に打ち勝つ・・・ではないですね。
向き合って答えを出した事を示すラストシーンはベネチアの街並みも含めて非常に美しいシーンだと感じました。

ミステリー部分はさっぱりわからなかったのですがストーリーを売りにしてもいいような作品だったと思います。

ネタバレあり 感想

以下ネタバレあり注意。

ストーリー面は良かったと思うのですよ。主に主人公ですが。

犯人はうっかりしすぎ・・・
自分の溺愛する愛娘を間接的にうっかり殺人。
自分を脅迫してると思われる人物を溺死させようとしてうっかり殺人未遂。
第三の殺人も脅迫している人物を見誤り(まあ脅迫の有無に関係なく殺害しそうでしたが)うっかり殺人。というか自殺に追い込んだ。

という色々やらかし過ぎてあの犯人の動機などはさっぱり予想できませんでした。
状況が状況だけに犯人っぽいなあ、と思いながら見てはいたのですが・・・まさか娘をうっかり殺害(直接はしてないですがまあ似たようなものでしょう)してそこからずるずると殺人事件に発展するとは予想もできなかったです。

あと黒幕・・・というか脅迫していた人物。
下手に頭が良すぎるとこうなってしまうのね、という感想。

脅迫なしで生活できる術をあの年で身に着けているぐらいの天才だったら起こらなかった。
誰かを頼って生活出来るよう支援を求めるのが普通だと思うのですが・・・下手に頭がよく自分の手でどうにか出来ると思ってしまったが故の犯行ですよね。

父親は疲れている・・・のではなく壊れている、と言ってしまっていたのも印象的。
物事を冷静に見過ぎているからこそ他人は信用せず、自分の手で脅す事を決めてしまったと考えると・・・父親の境遇もあって色々悲しいお話。

まあ本人的には霊が見えるとの事なのでそれほど悲観していなかったような・・・あれ本心で言っていたのかどうかは不明ですが・・・いつかはあのような結末になると予想していた節もありそうな。

他の登場人物も一癖二癖ある人物ばかりでかなり楽しめました。
ミステリー映画はほぼ見ないのでミステリー要素の出来がいいのか悪いのかは不明ですがミステリー要素なしでも面白い映画だったと思います。


以下各キャラクター雑記
ネタバレしかないです。

アリアドニ・オリヴァ

ミステリー作家。
非常に良いキャラ。
動機は非常にわかりやすく自分の作品のネタ作り。
予定外の殺人で事件に巻き込まれてもネタになるとわかるとポアロの捜査に積極的に協力。
結局自身の計画が全て看破されてもまったく悪びれる様子もなく「あなたは自分の亡霊にどう向き合っていくの?」となんかよい友達っぽい雰囲気で去っていた人。

まあ今までも散々実際の殺人事件をネタにして自身の本を出していたようなのでその辺は割り切っているというか気にしていないというか・・・。
ある意味事件の発端とも言えるような人物でしたが・・・まあこの作品。兄弟以外はほぼ全て誰か欠けても事件は起こらなかったと言えそうなので誰が事件の発端になったかは断定しづらいですね。

オルガ・セミノフ

家政婦さん。
こちらは純粋に被害者とも言えなくもないような。
アリシアが亡くなったのは蜜の過剰摂取だったと思いますが・・・まあロウィーナが普段からやっていればねえ・・・仕方ない気がします。

しかしちょっと気になるのがアリシアが亡くなったのは・・・
落ち着かせる為に蜜入りのお茶を過剰摂取させる→物音?か何かを気にして部屋を離れる→その間にロウィーナがアリシアの死亡を確認。屋上から投げ捨てる、と言った感じでしたが時間的に余裕はあったのだろうか。
長時間部屋を離れていたんでしたっけ?それとも寝入っていた?ちょっと記憶が曖昧。

ドクター・レスリー・フェリエ

お医者さん。
息子にお父さんは疲れているんじゃない、壊れているんだ・・・と言われたお父さんの心境や如何に。
しかもお父さんはその息子を守る為に自殺という道を選んでしまうし・・・。
なんだかんだ言って一番の被害者はこの人だったと言えるような気もします。
従軍医師の経験でポアロ以上に自身の亡霊に苛まれていたようですし。

しかし自殺の方法は難易度が高いような。
ナイフを壁に置き、後ろから刺されたように偽造して自殺していましたが・・・あれ常人には色々と難しいような。
まず思いついても普通はやれない。やろうとしても途中で失敗しそう。まあ思いついて実行できるのはやっぱり色々壊れていたのではないかと思うところ。

さらに言えばあの方法で自殺すると血痕の位置が壁際に寄り過ぎて不自然な事になりそうですが・・・まあ秒速でポアロに看破されていたので色々と不自然な点があったのでしょう。多分。

ヴィターレ・ポルトフォリオ

人を躊躇なく水面に叩きこむボディーガード。

結局作家先生と似非霊媒師と組んでいたってのはわかったのですが・・・この人がその人らと組んでいた理由ってなんでしたっけ?度忘れしてしまった・・・というかあの辺りはポワロが怒涛の勢いで解説していったので記憶が曖昧になってしまっている。

レイノルズ

似非霊媒師。
あれだけの演技出来るなら役者やった方がいいんじゃないかってぐらい迫真の演技だったような。
もしかしたら役者崩れかもしれませんが。

しかしレイノルズもとりあえずポワロを圧倒したという実績を残す為にポワロに不必要に近づき、挑発して自身の仮面とマントを渡したらうっかりポワロが殺されかけたとか予想もしていなかったと思われます。
あれでポワロが死んでいたら自身の計画が色々とマズイ事になっていたような気がする。
まあポワロが死んだとしても多分あまり動揺していないロウィーナが殺しにやってくるので(普通の精神状態なら娘が死んだ直後に偽装して投げ捨てるとかできない気がする)どちらにせよ殺害される結末は変えられなかったとは思いますが。

ホランド姉弟

弟さん・・・いつからあの煙突に潜んでいたのだろうか。
かなり長時間あそこで踏ん張っていたような気がするのですが。
力押しにもほどがある似非霊媒師トリック。

そしてポアロに速攻で引きずり落とされて可哀そう。

マキシム

料理人。
一番の被害者っぽいのですが・・・。
アリシアと結婚しようとした。家族間の付き合いが始まったら母親が超束縛してくるのが分かった。色々無理だと悟って別れたら金の亡者みたいに扱われた。
なかなか酷い扱いだったような気がします・・・。

まあ結婚したタイミング的に金目当てだと疑われても仕方なかった事。初登場時に店出来たから来てね!ホットドックでも食わせてやるよ!的な嫌味なキャラで描かれてしまっていたので悪役に見えなくもない。少なくとも観客目線だと嫌味なキャラに見える。

とはいえあのシーンは純粋にロウィーナに対して嫌味を言っていたはずなので・・・やっぱり彼は被害者ですね。

ロウィーナ・ドレイク

娘を手放したくないからと中毒性の蜜を作るためだけに養蜂を営むヤバイ人。
行動力があり過ぎる・・・
病気に見せかける為に娘に中毒性のある蜜を盛りました。
→色々あって娘死亡。即座に娘を孤児院の呪いに見せかけようと画策。

毒殺の結果、誰かから脅されました。
直接殺害を計画。途中でポアロを殺しかけたけど気にしない。

結果、自身を脅した黒幕には気づかなかったけれども合計3人を殺害。ポアロは殺害未遂。
なかなかにアクティブ過ぎる。

しかしそれだけに最期は印象的。
亡霊なんていないよ、見たのは全て中毒によって引き起こされた幻覚だよ、という話だったのに最期は亡霊にも見える存在に導かれるように転落し、入水していったという・・・
みたのが中毒症状を起こしているポアロだけだったので真相は不明ですが・・・ある意味自身の生み出した亡霊によって殺された人だったと言えなくもなさそうですね。

レオポルド・フィリエ

ある意味黒幕。ロウィーナを脅迫していたのはお前だったのか・・・

なかなか強かというか頭の良すぎる子、というのは前述したとおり。

パパのカルテ見れば死因がなんだったのかなんて即わかったよ、とかこの子もお父さん同様色々と壊れているような気がする・・・。
名探偵のコナンが犯罪に手を染めたらこんな感じになりそう。

しかし終始この子は霊が見えるだのレイノルズを似非だよと断言していたのは・・・実際に見ていたのか。それともこの子もお父さんの世話をする中で色々と壊れていってしまっていたのか。
まあ最終的にお父さんが亡くなっても「また会いに来るね」でそれほど悲壮感を感じさせるものではないラストだったのは印象的・・・なのですが劇中でやった事が印象的過ぎてあまり印象に残らないような気がしないでもない。

エルキュール・ポアロ

ラストシーンの入り方が非常に印象的。
ラストシーンが美しい映画は大体名作。

しかし神この世に存在しないのくだりはかなり印象に残りました。
神がいるならこんな糞ったれな世界になっていない。的な話。
その直後のシーンで神はこの世界の事なんかみちゃいないよ、と言っていた(ような気がする)のも印象的。

神なんていてもいなくてもこの世界はダメだ。疲れた。
世間がどうなってもいいから静かに余生を過ごそう・・・からの今回の事件に関わって色々あったけど結局は自分の中の亡霊は消す事が出来ないのだから自分のやるべき事をやっていってやる、と依頼人に超スピードで話始めるシーンは凄い良かったと思います。

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