小説 怪物の木こり 感想

小説 怪物の木こり ネタバレありの感想です。
超適当な考察もあります。

映画の感想はこちら。映画と小説の違いにも触れています。

ネタバレ自重していないのでネタバレ注意。

スポンサーリンク

ネタバレ感想

ミステリー要素は面白かった。結末はどうかと思う。

ミステリー要素は結構面白かったと思うんですよ。
二宮視点と戸城視点に分ける事でうまい具合にミスリードがされていた印象があります。

ラストのクライマックスも時系列を意図的にごちゃまぜにすることで犯人をミスリードする事に成功しているように思えます。実際自分も犯人誤認してうまく騙されたなと思えました。
この辺は面白かったです。

それは間違いないのですが・・・ラストのオチが不満。
結局脳チップが破損して正常な人間になった、快楽だけではない幸せを感じられるようになったからこれからは幸せ掴んでやるぜ!
というのは二宮の起こしてきた事件を考えるとどうかと思います。

その分、杉谷が何か不穏な様子で終わって二宮もすんなり幸せを成就できなさそう、的なオチにしたのだと思うのですが・・・でも散々人の幸せ壊しておいて脳チップのせいだから仕方ないね、というのどうなんでしょうかね?
まだサイコパスと元の性格の中間で自分の意思で切り替えできない、通常時はあくまでサイコパスよりの人格だと言えなくもなさそうですが・・・

あとがきによると作者さんは続編も考えているとの事でその辺踏まえての布石なんだと思うのですが・・・1作品の結末としては個人的には共感しがたいオチだったな、と思ってしまいます。

楽しめた作品ではあるのですがオチが不満、といった感想でした。

考察

杉谷九朗

ラストで意味深な薄笑いを浮かべる杉谷。
その狙いは何か、を適当に考察してみようと思います。

杉谷の目的は「幸せというものを体験する」事。
そして主人公を使って幸せを体験しようとしているのではないかと思えます。

二宮とは違い(恐らく)何も細工はされていないマジのサイコパスの杉谷。
サイコパスであるが故に幸せを知らない杉谷の目的の一つは戸城嵐子が残した実験データ。
通常の人間をサイコパスに出来るのであれば(実際に実験自体はほぼ成功。生存した人間に限りますが)逆にサイコパスを通常の人間のように出来るかもしれない。
通常の人間であればサイコパスには味わえない幸せを知る事ができるかも・・・というのが今回杉谷が二宮を手伝った理由の一つ。
二宮と友人関係だった、というのもありそうですが・・・それはあくまで二宮が自分と同じサイコパスであったのが理由にあるはず。

今回の件でチップが破損し、サイコパスで無くなりつつある二宮に今まで通りの関係を続けられるかといえば・・・難しそうですよね。
それどころか他にはないサイコパス→通常の人間になって稀有な例。
普段から医学の発展の為と言いつつ好き勝手他人をいじくりまわしているやつが絶好のサンプルを見逃さないでしょうか?いや、絶対やりますよね。

という訳で杉谷が自分の幸せの為に二宮を襲う可能性は非常に高い。
ただサイコパスの状態では二宮を襲っても幸せは得られない。
なので今回得られたデータを使って自身をサイコパスでは無い状態にしてから二宮を襲うのではないでしょうか?

もちろんサイコパスでない状態では色々と躊躇してしまう可能性もありますが・・・それも含めて楽しみたいのではないでしょうか?
なにせ目的は「幸せになる」ことではなく「幸せを体験する」なので。

失敗したら失敗したでまあいいか、とか考えていそう。
チップを弄ればサイコパスとそうでない状態を機械的に変更できそうな世界観。
やれる状況になれば間違いなくやると思われます。

この作品の続編の可能性もあるらしいので続編があるとすれば杉谷が敵になりそうですね。
ただし今回の引きからすると杉谷が犯人一択になってしまうので流石にそのまま敵であり続けるのはないとは思いますが。

ただしそれでも・・・絶対に一度は自分の「幸せの体験」の為に二宮を襲ってくれる。
そんな事を思ってしまいました。こいつは全登場人物の中で一番ヤバイ。

コメント