映画 ブルーピリオド
ネタバレありの感想です。
原作漫画は読んでいます。原作漫画との違いがメインの感想。
以下ネタバレあります。ネタバレ注意。
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原作との違い
映画は原作6巻・25筆・藝大受験編終了まで。(ラストにワンカットだけ映画オリジナルシーンあり)
原作6巻を2時間程度にまとめているのほぼダイジェストになっています。圧倒的に尺が足りない。
カットされていないシーンで映画と原作の違いについて書いてみます。
細かい違いを書くと超長くなるので大きな違いについて。
と言ってもおおむね原作通りの流れにはなっているのでそこまで大きな違いはなかった印象。
とは言え個人的に何カ所か気になる違いがあったのでそれについて。
・矢口家の経済状態が原作より悪くなっている?
原作だと無理をすれば私立の美大にもギリギリいけなくはないか?程度の家計でしたが(私立に進むならパート増やすか、と母親が悩んでいた)映画でははっきりと国立以外無理だとわかる状態。
それにともなってか矢口が母親に対して描いた絵が変更。
原作では家事(料理)をしている後ろ姿。
映画では疲れて机で伏せて寝てしまっている姿。
映画の方が母親に負担がかかっている印象。
まあこっちの方が藝大だけ受験する流れにはしやすいような気もする。
ただしそのせいで家計がかなり厳しいのに夜遊びまくっている八虎の印象が悪くなってしまったかもしれない。
それに加えて2年の冬。原作の八虎は自身のバイト代で冬期講習代を賄っていたのが映画では父親に頼み込んで講習代を払っていたような?(ちょっと曖昧)
全体的に八虎がお金に対してルーズに見えてしまった印象。とは言えこの辺突き詰めると長くなりそう&細かい事を気にしなければそこまで気にする描写ではない気も。
・2次試験の描写
2次試験の見せ方が大きく違う。試験内容自体は変更なし。
映画の2次試験のラスト。原作ではスケッチブックに自身の心情を綴って「俺って結構おしゃべりじゃん」と思うシーンがあるのですが映画だとこのシーンが全然違うんですよね。映画だと見せ方が大きく違っています。気になる方は劇場で確認してください。
私個人の文章力でうまく表現できないから、という事情もありますが。
個人的には漫画の方の表現が良かったと思います。
ただし漫画版の表現が良かったと思うのは漫画版の八虎は映画より試行錯誤を積み重ねまくっているから。映画も映画で漫画と同様の努力はしているはず。それに対する試行錯誤もしているはず。ですが尺が足りないのでその辺はダイジェスト風で流されているんですよね。
2次試験はこれまで八虎が描いてきたものが集約され、言語化されるシーン。ダイジェスト風で流されたところ集約して漫画と同じ表現をしても説得力に欠けると思うんですよね。なので映画のあのラストの流れはありだとは思うのですが漫画版の方が良かったと思ってしまいます。
この辺は個人の感じ方の差が大きいと思いますが。
さらに言えば原作と映画では一番伝えたかったものが異なる印象。
映画では八虎の「情熱」を一番伝えたかったんじゃないかなあと思うんですよ。
原作だと自分の気持ちを伝えるのが怖かった印象のある八虎。映画ではその怖さもあるけれどもそれ以上に自身の芸術に対する情熱が勝っているような印象がありました。
その情熱を伝えるとすれば・・・あの描写でよかったのではないかと思います。
原作と映画の違いで個人的に特に気になったのはこの2点。
以下細かい違いについて雑記。数が多すぎて覚えきれなかったのですが覚えていることを適当に書いていきます。
・八口 八虎
おおむね原作のキャラのままなのですが全体的にカットされまくりで違うキャラになっている印象。
特に印象的なのは心理描写。
原作では毎回毎回どうやって描くか悩みまくっているキャラなんですよね。
映画ではほぼほぼ省略。映画では”縁”についてどうやって描くか悩んでいるシーンがありましたが原作ではほぼ毎回あのような悩みを持ちながら描いている。素の自分に自信が無いからこそ技術などでそれを隠そうとしているキャラ。
それがラストの「裸は情けなくて頼りない姿」「服を着るのはそれを隠そうとする行為」に繋がっているのですが映画の八虎はそこまで裸が頼りないように見えない。
だからこそ2次試験の心理描写のシーンを大幅に変更したとは思うのですが・・・やっぱり若干違うキャラに見えてしまう。
・鮎川 龍二
家庭の事情について大幅カット。おばあちゃんに関しては完全に出番なし。父親に対して少し触れるだけ。
男性が好きなのは変わらず。ただし原作だと女性も好き。ややこしくなるからかずっと好きな女の子の話は完全カット。
セルフヌードを描くのは原作通り。映画でも尻はきっちり映る。ただし描くまでの流れは全く違う。原作では海に入る事もなかった。心理的に海に入っている描写はあったけれども。
受験後、自身が作った服についてインスタ?にアップしているシーンは原作にはなかったはず。とはいえこれに関してフォローがないと後味悪くなりそうなので入れたと思うのですが。
・高橋 世田介
出番がカットされまくったおかげか完全に嫌な奴になっている。映画だと完全に天才肌の嫌味なキャラにしか見えない。原作だと人との距離感がバグっているだけの普通の・・・いや、原作も相当アレだった。
映画でもあった「芸の上澄みだけを掬ったような~」のくだり。
原作だと八虎からどこが悪い?と聞かれて答えていたのに対して映画では勝手に絵を見て勝手にけなすという完全にヤバい人になっている。某仮面ライダーのタイムジャッカー並みにヤバい人間。
そもそも原作だと最初にあった時に八虎の名前を憶えていた、美術館や初詣に一緒に行った、とかそれなりに交流を深める話があったけれども完全カット。映画は気に食わないやつにケンカを売りまくるヤバい。
それにも関わらずなぜか原作で特徴的だった鉛筆の持ち方が普通に。なぜここを変更したのだろうか。役者さん的にあの持ち方で絵を描くのが無理だったのだろうか。
・森 まる
若干キャラが変わっているような?
映画では色環について説明(していたような?)。色環について原作で解説するのは先生。色環について原作ではなんか難しい話をしている、みたいなことを話していたはず。
他にも原作では合格発表の時に家族が寿司を取ろう、みたいな話をしていた。映画では合格しましたと話していただけだったはず。
原作は自身の得意分野については超すごい。他はちょっと・・・みたいなキャラだったのに映画では芸術以外もそこそこ普通に見える。といってもこの辺は細かい差。
あとは八虎が最初の渋谷の絵を完成させるところ。原作では授業中に完成させていた。映画では一緒に描いていた。
あとは互いの絵を交換し合うシーン。原作では八虎が森先輩の卒業式の日に手渡し。映画ではそのまま交換していた。この辺は尺の都合のような気もする。
あと違いではないけれども気になったところ。
映画のラストシーンは森先輩が八虎の2次試験(を模した)絵を観て「素敵ですねこの絵」で締めると予想していたのに・・・若干続きがあった。ほぼラストシーンでしたがラストではなかった。
・佐伯 昌子
大体同じ・・・な気もするけど(そもそも大幅カットされてますが)気になった違いが。
「やわこい」が「やわらかい」に変更されていた。やわこいじゃダメだったのだろうか。このセリフで若干先生のイメージが変わってくるような気がするのですが。
・恋ヶ窪
パティシエになる話をする場所が違う。原作だとラーメン屋だったのに。
とはいえパティシエになる夢を伝えるには映画の方が分かりやすかった気も。ただしそのせいでもらい泣きするラーメン屋店主はカットされてしまった。
・桑名 マキ
あまりギャルっぽく見えない。
気になったのが予備校の試験で一位を取って喜んでいたシーン。原作だと1位になりたくなかった、というシーンがあるのですが。ただこの辺は長くなるのでカットしたのだと思う。姉の話とか入れるとかなり長くなるし。とはいえこの辺のくだりをカットしたせいで予備校の試験で1位とったのに合格できなかった不遇なキャラに見えてしまう。
あと不遇と言えば2次試験のシーン。体調不良の八虎の荷物を持って階段駆け上がるシーンがカット。ものすごくカッコよいシーンなのでカットされてちょっと残念。
・橋田 悠
出番がカットされたせいで単におさげが特徴的なだけの人になっている。
とはいえ他のメインキャラも軒並みカットされているので仕方ない気もする。
当然姉妹の話もカット。映画で大学生編をやればもう少し出番が増えそうだけれども・・・まあその辺は他キャラも同様。
登場タイミングが原作と違う?原作は予備校に入学してから。映画は冬期の時だったような?
タイミングが違うせいか映画では世田介の事も知らなかったっぽい。
・三木 きねみ
映画だと試験時に八虎に迷惑かけただけのキャラになってしまっている。
原作だとちゃんと謝りに来たのに。
まあ1次試験は(も)かなりカットされているので仕方ない気もする。
原作と同様のシーン
違いを色々書いたのですが同じシーンも多かったです。
その中でも一番印象的だったのは・・・まさかの2次試験の内容が同じ。
内容に変更がないとは思わなかった・・・。
年齢制限かかってないしここは試験内容変更するかちょっとマイルドな表現に変更するかと思ったのですが色々とがっつり映っているのはびっくり。
他の映画ならきっちり年齢制限かかりそうですが芸術ならいいのだろうか。
まあ男の尻が数分間流れる映画なら女性に同様のシーンがあってもおかしくないですよね。多分。
感想
漫画実写化なので原作改変がどれだけあるか心配してしまったのですがそこまで酷い改変はなかった印象。とはいえ違うとこも多いのでこの辺は個人の差が大きいとは思いますが。
ただ原作の尺(漫画6巻)に対して映画の尺が短すぎたので原作のダイジェストになっている印象。その影響で変わってしまったキャラがちらほら。
とはいえ原作の雰囲気は大きく変化しておらず映画としてまとまっていたとは思うので実写映画の中では良い作品だったとは思います。
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