CUBE 一度入ったら、最後 感想

映画 CUBE 一度入ったら、最後
ネタバレありの感想です。
この映画を観終わった後、原作映画本編視聴。
2とゼロのあらすじ読みました。
以下ネタバレありの感想です。

・感想

邦画リメイクらしい作品。
一応大筋は原作の1を(というより1以降は1の監督が関わっていないらしいので原作に含めていいのか微妙)メインに2とゼロの要素を取り入れたようなストーリーになっているようです。
なのですが結局のところ菅田将暉の過去話、そしてメインの子役の話になってしまっていて原作の謎解き要素が薄れてるんですよね。

素数でトラップ判断
デカルト座標で構造把握
辺りまでは原作と同様。

しかしその後の順列云々、そして真のトラップ判断基準の因数については省略。
因数に関しては超高速で解けるキャラが必要になってしまうので省略したのだと思われるのですがその為後半のトラップ部屋回避が運任せになってしまっていました。
(ある程度素数で絞り込めるとはいえ)

順列に関してはしっかり解説していない為(多分)どういった規則性でキューブが動いているのかわかり辛くこちらは完全に運ゲーしているようにも思えました。
そして何故か追加された分断トラップ。
ストーリー的に盛り上げる為に二つに分断したのだと思われる(もしくは尺稼ぎ)と思いますが…この展開必要だったのでしょうか?
そもそも即死トラップ満載のキューブの中で分断トラップ入れる必要性がないですからね。分断した辺りで吉田鋼太郎が殺されるだろうと判断出来てしまうのもマイナス。
あれだけフラグ立てておいて何もなかったら逆に怖いですし。

この辺りの参加者同士で殺し合うやり取りは原作の警察官が暴走し始めるシチュエーションの方が良かったと思います。
頼れるリーダー的人間が暴走し始めて最終的には参加者ほぼ皆殺し。
暴力的な男だという描写はありましたが序盤で皆を纏め上げた人間が裏切る原作の方が意外性があって良かったんじゃないかと。
というか明らかに人殺しますよ、的な人間が人を殺しても意外性も何も…。
といった感じで原作の謎解き要素を減らしてその分人間ドラマの比重を増やした、といった印象を受けました。

増やした人間ドラマが原作と比べて面白いかどうかは人によると思いますが自分的には原作の人間通しのやり取りの方が良かったと思います。
という訳でちょっと残念なリメイク作品でした。
なんというか凄い邦画っぽい作品。

・参加者

原作は謎が多すぎて何が目的かわかららない(精神科医が言っていた事が事実かどうか不明。続編は公式な続編ではない)施設でしたがそれでも箱から脱出させようという人選ではありました。
リーダーシップを発揮してチームを先導する警察官(ただし最終的にほぼ全員殺しましたが)

キーマンの人間をサポートする精神科医
数字から脱出のヒントを探る大学生
超計算能力持ちのキーマン
キューブ外壁に関わった人間
出オチ脱獄犯

と無駄のない構成。誰一人欠けても脱出する事は無かったでしょう。一人以外全員死にましたが。

対してリメイク版は

エンジニア
素数を習ったばかりの中学生
フリーター
整備士
会社役員
仕込みの団体職員

と脱出の際に必要な人員が削られすぎ。
ほぼエンジニアと整備士の2人だけが活躍してたと思われます。
とは言え原作1はある程度の意図があって集められた人間だと思われるのですがリメイク版はおそらくランダム。

社会に絶望している人間(エンジニア、中学生、フリーター)
罪を犯した人間(会社役員)
整備士は不明。(急いでやる事がある。間に合わないかもしれない。といった情報のみだったような)

原作(と言っていいか不明ですが)の2では政府に邪魔な人間の処分場。ゼロでは死刑囚(死刑囚以外もいたようですが未視聴なので不明)の処刑場、的な役割があったのでそれを考えると…。
社会に絶望している人間は何らかのメリットを提示された上で、任意の参加(記憶操作はされてるっぽい)

罪を犯した人間は処刑の為
整備士は…それ以外の人間も入れらえておりそれに該当、もしくは罪を犯していた。
といった感じでキューブに入る理由は違えども何らかの理由によって入れらえた人間がたまたま遭遇しただけ、という解釈だとそれなりに説明できそうな気がします。

社会に絶望している人間は基本的には死ぬけど中で自分は変われた、社会でも生きていく、という決意が出来れば脱出してもいいよ。ただし基本的に死ね、ぐらいのスタンスで運営していたのではないでしょうか?
あれだけの設備を誰が何の目的で運営しているかは不明ですが。
そして罪を重ねた人間は脱出出来ても死ね、ぐらいのスタンスで運営していると思われます。もしくは日本の死刑のように死刑執行してもしななかったら仕方ない、ぐらいのスタンスかもしれません。
何にせよ原作もリメイクも謎が多すぎてよくわからない。
脱出型体感型ゲームに記憶を消された上で参加している、と言った方がいくらか説明ができそうな気がします。
…ユアストーリー?

・越智真司 演 – 岡田将生

感想でも書きましたが人を殺しそうな人間が人を殺してもそりゃ当然そうなるよね、的な展開にしかならなかったのでもうちょっと捻って欲しかったと思います。
ところでキューブの中の背景色が変化していたのは感情に左右されてたのでしょうかね?
後藤の過去がスキャンされていたように参加者の感情のデータを取っていた可能性はありそうです。

・最初の男 演 – 柄本時生

あまりにも出血が少ないのは伏線では?と思っていましたが全くそんな事はなかった。というかあのトラップでああいった死に方はしないと思います。
超高速で壁に吹っ飛ばされてミンチになりそう。

・井手寛 演 – 斎藤工

結局何の目的で急いでいたのか不明。
というか普通にいい人で終わってしまったのですが。
口は悪かったですが来るものは拒まずでリーダーやれてましたしね。
しかしあのレーザー(熱線?)部屋はじらし過ぎだと思います。
音に反応する部屋なんか初見殺しかつ回避不能ですからね。
部屋によって難易度の差が酷い。

・安東和正 演 – 吉田鋼太郎

原作の警察官は扉閉められても生きていたのに…普通に死んでました。
というかこっちが普通。原作の警察官が異常。
あの警察官棒を引っこ抜いてましたからね。
こちらも鍛えていれば脱出できたかもしれません。

・後藤裕一 菅田将暉

結局生き残ってはいたのですが…あそこから脱出できる気がしない。
やっぱり過程はどうあれ生き残れば出してあげる、ただ基本的に死ね!ぐらいのスタンスの施設なんでしょうか?
というか一人だけ過去のトラウマ描写されたり…あの施設は本当に何がしたいのかよくわからない。

・甲斐麻子 杏

非常に分かり易い運営側の人間。
最初の挨拶が「貴方たち…何者ですか?」
というのはどうかと思います。
普通何者ですか?とは聞きませんよね。
あまりにも怪しいのでミスリードかと思ったのですがそんな事は全くなくド直球に運営側の人間でした。
しかしラスト参加者全員に対してコンプリート(脱出、死亡に関わらず)表示をしていたのは…やっぱりこの施設は処刑場にしか思えない。
コンテニューと出ていた後藤はスルーして他の参加者に脱出を促し始めたのはどういった意図があるのか気にはなりますが。

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