映画 トムとジェリー
ネタバレありの感想です。
・感想
実写版?はどうなのと思っていたのですが思った以上には良かったです。
昨今CG技術の進歩によってアニメ映画の実写版が数多く作られていますがその状況の中でまさかのトムとジェリーを(それと動物全般)アニメ版のまま実写映画に登場させた、というアイデア自体はそれほど新しくもない試み。
アニメのキャラを登場させるというアイデア自体は数十年前からあったはず。
でもそれが普及してこなかったのは特にそれで映画を作る利点もなくアニメキャラはアニメ映画で作った方がクオリティ的にも高いため。
アクセントとしてアニメキャラが出る事はあってもそれがメインになる事はなかったのです。
で、今回の映画はどうだったのか。
最初にも書きましたが思った以上に良かったです。
というか実写版のフルCGでトムとジェリーなんか作っても違和感ありますしね。アニメのあの姿のトムとジェリーでなければトムとジェリーの映画と言えないでしょう。どっかの音速ネズミの実写版。最初の方のビジュアル怖かったですしね。
往年のファンを間違いなく納得させる今回のビジュアルについては全く問題がないと言えるでしょう。
そしてアクション面でも間違いなくトムとジェリー。
数々のアニメ版でのお約束だった演出が実写映画で再現されています。
以前からアニメを実写映画に登場させる、という試み自体はありましたが今回のようにアニメーションキャラを自然に登場させ、動かすというのは無理だったと思われます。
そういったビジュアル、アクション面では満点だったと思います。
次に難点。
最初に思った以上には、と書きましたがその点について。
この映画はトムとジェリーじゃなくてケイトとトム&ジェリーになってるんですよね。
実写映画にする以上仕方ない面もあったのかもしれないですがストーリーのメインはあくまでケイト。トムとジェリーはいつもの騒動を起こしているだけでサブ的なポジションとなってしまっているんですね。
実写版で作る以上完全にトムとジェリーのダブル主人公というのは難しかったのかもしれませんがトムとジェリーを冠するタイトルである以上もう少し人間は抑えめで二人の騒動をメインに持ってきて欲しかった、と思うところがあります。
とはいえそのストーリー自体も適度になかよくケンカしな、でないと人間関係が台無しになっちゃうよ、的な内容である意味トムとジェリーを象徴するストーリーであったのではないかと思います。
といった訳でビジュアル、アクション面は非常に良く、ストーリーに関しては悪くはないのですがもっと二人がメインであっても良かったのではないかなあ、と思うところがありまして思った以上には良かった、といった感想です。
以下雑記
・キャメロン
バーテンダー?
なんだこのイケメン。どこか癖のある登場人物が多い中自分の職務を全うしつつなおかつ主人公に適切なアドバイスと助力。そして仕事が成功した暁にはシャンパンで乾杯。
ルックスもイケメンで非の打ちどころがないような人物じゃないですか。
他のメンバーが濃すぎてある意味浮いてましたがこれはケイトが一発で惚れても違和感がない。
・テレンス
支配人。
劇中での扱い、そして公式HPでも悪役っぽい扱いされていますが違和感が。
無茶苦茶怪しい(経歴の割に若く言動も怪しい)ケイトを疑うのは当然であり、老舗ホテルが控えた大イベントの前でピリピリしている状況であんな騒動を起こされてたらそりゃ復讐心にも駆られますよ。むしろケイトの方が悪役扱いでいいと思いました。
ピーターラビットの実写版でお爺ちゃんの方のマクレガーが悪役扱いされてるのと同様この人を悪役扱いするのは如何なものか、と思います。
道の真ん中の糞をきっちり処理するあたり(しかも自分の私物のハンカチで)とてもいい人。
ただ首にされたからと言ってその大事なイベントをぶち壊すのはどうかと思うのですが…まあケイトも言っていましたがほとんどはケイトが悪いよね。
そもそもケイトがいなかったら多分結婚式自体が失敗していたと思われますし、たとえ成功したとしてもその後の結婚生活がうまく行っていなかった可能性があるので…なんとも言えない。
・ジャッキー
料理長
今回のストーリー。ほぼ被害者はいないとは思いますが被害者がいるとすれば料理長ですよね。恐らく。
ミシュランの審査員がいたはずの披露宴で自身で作ったケーキを粉砕した彼に星が与えられる事はなかったでしょう。恐らく。その後の結婚式も挽回の場があったのか不明ですしちょっとその辺は残念でした。
ここは全てジェリーが悪い。ケイトがいなくても勝手に住み着いていたジェリーがあのケーキをつまみ食いしないわけがない。
・ジョイ
人との距離感が独特なスタッフ。
今回微妙に成果を出したと思われる彼女ですが自分の希望に沿った部署に配属されたのか。微妙なところですが…多分難しいですよね。
というか若干彼女はホラーっぽいところがありました。
背後からの突然の出現。近すぎる距離感。
観察眼は優れているところがあるのでもう少し人との距離感を掴めればいいのではないでしょうかね?
恐らく最終的にはケイトが上司になったと思われるのでそれなりに良い待遇にはなったと思いますが。
・ドゥブロー
オーナー。
そもそものこの話の騒動の大部分はオーナーのせい(身元が怪しいケイトを即採用、大事な顧客とは言え像を使った結婚式を(恐らく)許可)だと思ったのですが…エンドロール後の一場面で評価がひっくり返りました。
あの場面の新郎に2度の結婚式費用を請求するのはなかなかしたたかですよね。
新郎的には修復不可能だと(そもそも破綻しかけていた)思われる新婦との関係を修復した結婚式。世間的な評価もありますし(そもそも大部分を破壊したのは新郎が持ち込んだ象のせい)費用を支払わない訳にもいかない。
絶対に断れない状況できっちり報酬を払ってもらおうとするその姿勢には感服です。
ケイトを採用した時に無能オーナーだと思ってしまったのですが…思った以上に人を見る目があったのではないかと思わせてくれる、そんな評価が一変したラストシーンでした。
・プリータ
新郎。
この映画の登場人物にしては比較的常識人。
大事な指輪を無くしていますが。
それはそうとお宅の飼い猫さん。猫被ってますよ。
・ベン
ホテルの象徴的な場所を破壊したのは飼い犬のスパイク。
披露宴会場の大部分を破壊したのは持ち込んだ象と虎。
新婦の話をほぼ聞かず新婦父が無表情な原因もわからず頓珍漢な行動し続けるこの人間が今回の騒動の一番の原因。
悪役ではないのですが無自覚な悪意が一番悪い、そういった…違うそんな話ではないですね。
新郎新婦も自分を抑え相手にあわせて生活するのではなく適度に本音を言いながら「なかよくケンカしな」と体現してくれた重要人物ですね。
つまりこいつはリアルトムとジェリー。
・トム
ピアノが弾ける(しかも偽っていたとはいえサングラスをかけて見づらい状態で)。
ピタゴラスイッチ的なものも作れる(今回は成功。アニメ版だと逆利用されているイメージ)
Wi-Fi付きのスケボーに乗り、さらにはドローンを巧に操作できる等数々のスキル持ち。
さらには動物保護センター?で絶体絶命のジェリーを身を張って助けるその精神。
これだけ揃っていてまともに日銭も稼げないニューヨークは恐ろしいところ。
・ジェリー
腐れ外道ネズミ。やっぱりネズミは害悪ですね。
上記の絶対絶命の状況で遊び始める等それはどうなの、と思わせる行動等も相まって…非常にジェリーでした。間違いなくジェリー。
そういえばトムには天使と悪魔がいるのにこいついないんですよね。
でもそんな性悪ネズミだからこそネズミーランドには住めない…これは著作権的に大丈夫かどうか不明なので省略。
主人公と言えるかどうか微妙でしたが二人の関係は間違いなくトムとジェリーでした。
・ケイト
人の活躍の場を口八丁で奪っておいて酷い展開だとは思いましたがちゃんとフォローがあったのは驚き。騒動の原因の原因をほぼ自分だと認め、謝罪出来た。
この辺りをちゃんと入れてくれただけでストーリー面もそれほど後味悪いものになっていた辺りその辺りには配慮してあったのだと思います。
トムとジェリーに関わったおかげで不幸になった人間がいるとそれはそれで後味悪いですからね。ただ全員じゃないのがちょっと残念ですが。
とは言え結構酷い人間だと思います。
この映画に悪役がいるとすれば間違いなくケイト。ついで新郎。
他はちょっと性格が残念なだけで普通の人間。悪役扱いされていた支配人はむしろ被害者。
以下駄文
・飯豊まりえ
出ていたのに気が付かなかったのですが…鳩と公園の女性役。
公園の女性役って冒頭トムがピアノ弾いていた時の人でしょうか?短時間過ぎて記憶にない。
まあそれはいいとして料理長がキョウリュウバイオレットで鳩がキョウリュウバイオレット。
もうこれはキョウリュウジャーと言っても過言ではない。
名探偵ピカチュウでヒロイン役やったらしい(字幕版しか観てないので詳細不明)のですが吹き替えで出る事珍しいですよね。
千葉さんは大御所なので結構色んな作品に出てますが飯豊さんが出てるのは珍しい気がする。
セットで出てる洋画は恐らくこのトムとジェリーぐらいじゃないでしょうか?
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